奈良県議会議員 山下 力
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12月県議会で一般質問を行いました。 2008年12月15日

12月8日、県議会で一般質問を行いました。質問原稿を掲載します。

先日のわが会派の代表質問でふれたことではありますが、来年1月20日、バラク・オバマ氏が第44代アメリカ大統領に就任することになっています。大統領選挙における地すべり的大勝利に、アメリカの白人も黒人も、ヒスパニック系の人々やアジア系の人々も、また先住民系の人々も興奮の渦の中に身をさらしていました。アメリカ人だけではありません。国家や民族の壁を越えて、世界のあちこちで、老若男女を問わず多くの人々が不可思議な開放感に包まれていたのではないでしょうか。もちろん、私もそのひとりであります。
 しかしながら、果たして、アメリカという国と民衆はアフリカ系アメリカ人であるオバマ大統領の選出を通して人種問題の解決を掌中にできたのでしょうか。私は疑問に思っています。わが国の明治政府が「エタ等の僭称廃止令」をだした時より5年前、1865年4月14日にリンカーン大統領の指揮の下で「南北戦争」が終結し、奴隷制度が廃止されました。なのに、その5日後、リンカーン大統は暗殺されています。また、1960年に「ニューフロンティア」をかかげてジョン・F・ケネディ氏が43歳の若さで大統領に選出され、’63年8月のキング牧師率いるワシントン大行進を支持し、公民権法の早期制定を明言しました。それから3ヶ月後にケネディ大統領も暗殺されたのです。因みに、ケネディ家はアングロサクソン系白人ではありません。アイルランドからの移民で、かつ、プロテスタントでなくカソリック教徒としてアメリカの白人社会で隠然たる差別の対象になっていたといわれています。ケネディ氏の死と交換するかのように翌’64年に公民権法が成立し、その年、マーティン・ルーサ・キング牧師にノーベル平和賞がおくられましたが、そのキング牧師も‘68年4月4日に暗殺されてしまっています。白人至上主義集団・KKKやSWAPが血塗られた醜い歴史をオバマ大統領の身の上に繰り返すことのないよう祈らずにいられません。オバマ大統領の出現は差別と抑圧からの解放を願って戦い続けている人々の励みになったことは確かであります。しかし、人種差別に係るアメリカの負の歴史をくつがえすまでの契機にはならないのではないでしょうか。
 リンカーン大統領によって奴隷制度が廃止されたのでありますが、初めて、マサツーセッツで黒人奴隷を制度化した1641年から数えて220年以上の月日が経過していました。奴隷制度がなくなりましたが、アフリカ系市民は貧困と差別にさいなまれ、100年後の公民権法の制定でやっと市民的権利を制度面で要求し、これを法的に保障される枠組みを手中にすることができたのであります。それからまだ半世紀しか経っていません。アメリカにおける先住民やアフリカ系市民の生活・文化・人権をめぐる苦闘はこれからも続いていくことでしょう。オバマ大統領の時代に人権問題で画期的な飛躍があることを期待はしても、その確かな根拠が見当たりません。「祖母は道で黒人とすれ違い、怖いと思ったと告白したことがある。(幼い)私は(黒人として)身がすくむ思いをした」と吐露し、「私は自分がアフリカ系アメリカ人コミュニティの出身であることと、それに縛られてはいないことを常に明らかにしてきた」と自らのたち位置を確認してきたバラク・オバマ大統領は、人種問題に関わって次のように述べています。「人種問題はいまもアメリカの生活での大きな要素になっています。言ってみれば、アメリカ人の生活に必ずついてくるシミなのです。しかし一方で、アメリカ人は一般に考えられているより良識的な人々であることも事実です。たとえ人種間で摩擦が起きても、それは人々が忙しすぎるせいか、あるいは日々の疲れやストレスのせいだと感じるときがあります」「(差別の)古傷をのりこえ、統合の道を進めると信じています」というものです。一方、オバマ氏と同じく黒人の父と白人の母を持ち、「黒い憂鬱」の著者であるシェルビー・スティール氏は、「オバマは白人から何かを受け取るまえに、白人たちに免罪符を授ける。白人たちは、オバマが信頼を寄せてくれることを喜び、自分たちが品格ある振る舞いをすることで、あえてオバマが自身の政治生命を危険にさらして白人社会に接近してくれることに感謝する。オバマがそうした白人との信頼関係を築きあげ、政治家としての力に変えたことも、われわれは知っている」と述べ、オバマ氏のたち位置に鋭いメスを入れています。差別は廃絶の対象ではなく克服の対象であると確信する私にとって、目の離せないところであります。
 そこでまず一つ目に、知事と教育長に質問します。オバマ大統領の登場を人権問題の観点からどう評価されますか。お答えください。

 次に触れたい観点は、アメリカ発の金融危機についてであります。「百年に一度の国難」といわれ、国民の四人に三人が「国の方向が間違っている」と考え、九割の国民が「経済状態が悪い」と感じているアメリカで、さほどの政治経験もない若干47歳のオバマ氏になぜ白羽の矢が向けられてきたのでしょうか。その動向が直ちに、大きくわが国の経済に影響を及ぼすことであるだけに目を離せません。
 この間、ブッシュ政権の8年間でアメリカの威信は大きく傷ついてきました。大義なきイラク戦争で四千人余のアメリカ兵と多数のイラク国民が犠牲になってきました。けれども中東の混乱は収束されていません。また、市場原理主義に基づく米国発の金融危機は世界同時不況を招来しかねないものであり、アメリカの実体経済が壊滅的な打撃を被っています。1929年の「世界大恐慌」や1987年の「ブラックマンデイ」の教訓がなぜ忘れ去られてきたのでしょうか。どれもこれも株価が暴騰しすぎた挙句の暴落であります。金持ち優遇の税制が施行され、国内所得の分配に著しい不平等が生み出されてきました。軍事費に巨額の税が投入され、福祉や医療、教育等への予算配分が大きく削減されてきたのも同じパターンであります。実体経済をおろそかにし、金融工学なる手品まがいの手法で強欲をふくらませた結果の金融破綻です。アメリカ連邦議会が当初、銀行や証券会社に公的資金を入れるのに強く反対したのは当たり前のことだと私も思っています。
 大統領選挙戦を通してオバマ氏は訴えていました。・・・1980年に平均的な最高経営責任者(CEO)に支払われる手取り収入は、平均的な時間給労働者の四二倍でした。それが2005年には二六二倍になっています。労働者の所得が伸びないなかでCEOが強欲の限りを尽くしている、と厳しく批判してきました。。また、自動車の三大メーカーの怠慢にも鋭い指摘をしています。・・・低燃費モデル車の開発でも、デトロイトは競争相手である日本企業に大きく差をつけられています。トヨタが2006年に人気のプリウスを10万台売る計画なのにGMのハイブリッド車は2007年まで市場に出さえしていないのです・・・。そして、企業の優遇税制打ち切り、中間層の減税、イラク撤退、医療制度改革等々の具体的な政策の骨格を簡潔に訴え、最後に「”希望“が私を、今日、この場に立たせています。ケニヤ出身の父と、カンザス出身の母の間に生まれた私のストーリーは、アメリカ合衆国でしか起こりえなかったものであります」と締めくくる名演説が人々の心を揺さぶったといわれています。そうです。アメリカの人々はこの「100年に一度」の国難を乗り越えるための最もふさわしいリーダーとしてバラク・オバマ大統領を選出したのであって、たまさか、その人がアフリカ系の人であったということでいいのではないでしょうか。知事にお答えいただきたい二つ目の質問です。今次のアメリカ発の金融危機の本質をどう把握されていますか。                             
 三つ目の質問は、今次のアメリカ発世界同時不況は様々な観点で私たちの日常生活にも早晩、影響してくるに違いありません。国政だけでなく地方行政の運営でも、大胆な発想の転換が求められることになるのではないでしょうか。各分野の責任者に答弁していただきたいと思います。
 その@は、県の財政におよぶ影響です。この間の金融危機を受けて、数ヶ月の間に東証一部の株式時価総額が500兆円から300兆円に目減りしました。補正予算と来年度予算編成にいかなる予測をされているのか、お尋ねします。
 そのAは雇用の問題です。アメリカの旺盛な消費をターゲットにしてきたわが国の輸出主導型の経済運営は決定的に岐路に立たされ、早晩、内需主導に切り替えていかねばならないでしょう。すでにパートや派遣等、非正規雇用者の解雇と学卒者の採用内定取り消しがでているようですが、その実態把握と相談および救済対策についてお尋ねします。
 そのBは、若者の雇用の問題です。先日、総務省から青少年白書がだされ、若者の非正規雇用が急増していること、とりわけ10代後半で、ここ15年間で倍増して72%になっているといいます。もともと非正規雇用率で日本一のわが県としてどう受け止めていますか。また、企業誘致活動においても、雇用にかかるいかなる提起をしてきたのか、明らかにしてください。
 そのCは、ワーキングプアーの問題です。アメリカでは、4人家族で年収2万ドル以下の家庭を「貧困家庭」と定義づけて、その数、3,646万人で全人口の12,3%を占めているようです。わが国では、生活保護基準に達していない1,105万世帯、全体の22,3%が「貧困家庭」で、そのうち656万世帯がワーキングプアーであります。県のワーキングプアー対策をお聞かせください。秋田県で、高学歴のワーキングプアーに特化した高校教員採用でこれが対応に風穴を開けたと聞き及んでいます。ご存知でしょうか。
 そのDは、21世紀の重要課題である環境・食糧・エネルギーに関わっての問題であります。もはや、これらを力や金で奪い合う時代でないことは今次の金融危機でも証明されています。県政の各部署で、これらが重要課題にどう取り組もうとしてきたのか、お尋ねします。また、いまなぜ「ゆとり教育」がたたかれるのか、私には理解できません。これまで、小中高の教育に大きく害を及ぼしてきたのは大学のありようではなかったでしょうか。大学進学希望者数よりはるかに多い定員、分数計算の予習をしている大学、就職先のない博士号取得者等々、小中高の教育にどんな影響をおよぼしているのでしょうか。県教委の見解を聞かせてください。
 そのEは、公的病院の問題です。今日のアメリカでは「一度の病気で、人々は中流から貧困層に転落する」と言われているようです。医療の現場にも市場原理が導入され、公的病院がなりたたなくなって、やたら医療費が高騰したからです。医療保険も低リスク者用低額保険と病人用高額保険に二分されて、医療保険未加入者が増え続け、5,200万人を超えたといいます。わが国の医療現場も同じ道を歩かざるを得ないのでは、との不安が消えません。国保財政の逼迫、産科医・小児科医・看護士の不足や公的病院の赤字の増大等に鑑みて、県の所見を明らかにしてください。

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